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東京外国語大学舩田クラーセン(船田クラーセンさやか)の公式ブログです。アフリカ・市民社会(NGO)・環境関係のイベントや授業、耳寄り情報を流しています。特に、アフリカに関心を寄せる学生の皆さん必読情報を満載しています。 ************************ *************** 現在、朝日新聞Web版(アサヒ.コム)に記事を連載中。 「魅惑大陸アフリカ」「モザイクアフリカ」のページ をご覧ください。【連載】変わりゆくアフリカ最前線   http://www.asahi.com/international/africa/mosaic/ *********************************** ** This is an Official Blog Site of Sayaka FUNADA-CLASSEN,Associate Professor of Tokyo University of Foreign Studies (TUFS). The following info. is about events & classes on Africa, Civil Society (NGOs), Environmental issues. English/Portuguese sites are not yet available... Sorry, but please study Japanese!
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せっかくの連休だというのに寝込んでしまった。
それでというわけではないが、カラマーゾフの兄弟を読み終えた。

何を隠そう中学生の頃の愛読書がドストエフスキーとトルストイ。
スタンダールも好きだった。熱が出ると心の中で「やったあ」と呟き、
布団にもぐって名著を読みふけった日々。

それほど読書が好きだったというのに、あまりに忙しい日々をおく
っているが故に、「小説を読む」という習慣もまた、「身体を動かす」
という習慣とともに失っていた。

まったく時間がなかったわけではなかった。たぶん、眠りに就く前
の7分30秒ぐらいは読書に割けたはずだった。でも、気持ちが小説
に向かわなかった。身の回りで起こっているあまりにもリアルな
事件や出来事に、「フィクション」を読む気に一向になれなかった。

それが、洞爺湖サミットが終わって、大学の授業も点数付けも終
わったある晩、むしょうに小説が読みたくなった。たまたま開いてい
た本屋に平積みになっていたのが、『カラマーゾフの兄弟』の新訳
であった(訳はもちろん亀山学長)。

子供のころ、あれほど読みまくったのに、悲しいかな話の筋しか
覚えていない・・・。実際、どれもこれも、あんなに入り込んで読んだ
というのに、ほとんど記憶が、ない。覚えているのは、断片的な
シーンの美しさとか、翻訳が読みづらかったとか・・・そういうことばか
リ。読みやすさを重視した新訳というのに惹かれた。というか、ほんま
か?と思い読み始めた。

が、タイムリミット。アフリカへの出発が目の前に迫っている。
諦めてアフリカに1、2巻を持参。

しかし、驚いたのは我が子。
本を読んでいると、声に出して読んでほしいという。日本語に飢えて
いる様子。アフリカの前にドイツに3週間行っていたのだから、そりゃ
そうだろう。ここは、モザンビーク、ポルトガル語の国だ。

声に出すと、今度は訳がわからんから、分かりやすい言葉で解説
してほしいという。そうやって、読み上げては、解説を、なぜかアフリカ
で毎晩やり続けた。さすがに辛くなった2巻(哲学的すぎて解説も無理)
は、筋だけを教えた。

そして、昨日一人で読破したことを伝えると、一言。
「誰がお父さん殺したん?」
そうか。この本が「父殺しの本」だということを、彼も直観で感じたのか、
あるいは、それにばかり興味があって聞いていた?

「誰やと思う?」
「イワン」
私は正直どきりとした。1巻と2巻の途中しか読んでいないとしたら、
ドミートリー(長男)といってもおかしくない。素直に考えても長男だろう。
しかし、我が子は譲らない。
「まん中のお兄ちゃんに決まってる」

実際は、長男が殺害現場におり、逮捕・有罪判決を受ける。
次男のイワンは犯行時モスクワに向かう電車にいた。
それを伝えても、首を横に振る。

実際のところは本を読んでいただかなくてはならない。
子供いわく、
「話の中に、アリョーシャ(三男)とイワンが道端で話しているところが
出てきたでしょ?あの話で最後のやりとりで、僕はイワンがお父さんを
殺すことになると思った」とのこと。

これは、5巻の訳者の解説にも書いてあるシーンだった。
我が子ながら、恐るべし8歳。

子供は見せられたものをそのまま信じると大人は思いこむ。
しかし、自分の経験からも、親としての経験からも、「そうではない」と
思う。子供はそんなに単純じゃない。そこに、子供の抱え込んでいる
大きな宇宙があると思う。その宇宙を否定するのではなく、どうつきあ
っていったらよいのか一緒に考えることができればなあ、と思う今日
この頃。
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プロフィール
HN:
舩田クラーセンさやか
性別:
非公開
自己紹介:
舩田クラーセンさやか
東京外国語大学 外国語学部 准教授
(特別活動法人)TICAD市民社会フォーラム 副代表

専門は、アフリカにおける紛争と平和の学際的研究。
モザンビークをはじめとする南東部アフリカの調査・
研究に従事。大学では、ポルトガル語・アフリカ地域
研究・紛争と平和を教える。

1993年よりNGO活動に積極的に関わり、援助改革、
アフリカと日本をつなぐ市民活動に奔走。

国際関係学博士(2006年 津田塾大学)
国際関係学修士(1995年 神戸市立外国語大学)

-1994年、国連モザンビーク活動(ONUMOZ)で国連ボラン ティアとして選挙支援に携わる。
-1996年、和平後のパレスチナ、ボスニア・ヘルツェゴヴィナで政府派遣選挙監視団に参加。
-1995年、阪神淡路大震災時のボランティアコーディネイター(神戸市中央区)
-2000年より、モザンビーク洪水被害者支援ネットワーク(モザンビーク支援ネットワークに改称)設立、代表を務める。
-2002年、「食糧増産援助を問うネットワーク(2KRネット)」設立に関わる。
-2004年より、(特別活動法人)TICAD市民社会フォーラム 副代表に就任。
-2007年8月より、TICAD IV・NGOネットワーク(TNnet) 運営委員に就任。

単著『モザンビーク解放闘争史~モザンビーク現代政治における「統一」と「分裂」の起源を求めて』御茶ノ水書房 2007年
(日本アフリカ学会 研究奨励賞<2008年度>受賞)

共著 The Japanese in Latin America, Illinois University Press, 2004.
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